超特急を応援する友人を10年眺め続けたオタクの初乗車記録

 

超特急オタクの友人に超特急にご乗車された方は初乗車ブログを書くのがルール」とそそのかされたので、同じアホなら綴らにゃソンだなと、初乗車ブログをしたためることにした。

 

これを読んでくださる8号車(超特急ファンの総称)の皆さんには、先に謝っておきたい。

きっと皆さんの心をザワつかせてしまう内容も出てくるから…けれど、私なりに超特急に向き合った時これは避けては通れないものなので、その当時のそのままの気持ちを綴らせてもらいます。

今から話すのは、超特急を応援する友人を10年眺め続けたオタクによる、長い長い初乗車までのお話。

 

 

■ 1 イケメン男子に用はない ■

遡ること10年前の2013年、スタダ推しの友人Aが新たにアイドルグループを推し始めた。

彼らこそスターダストプロモーションが放つEBiDAN(恵比寿学園男子部)より生まれし超特急である。なるほど、わからん。

それに対して私は「へぇ」というリアクション程度で、見事に興味を示さなかった。ももクロの弟分というところ以外に、特に引っ掛かりがなかった。

なにせ当時の私は専ら二次元オタク(根は芸人オタク)であり、乙女ゲーは無理だがギャルゲーはできる!女の子可愛い!!女の子最高!!モーニング娘。最高!!!ももクロ最高!!!みたいな女の子至上主義オタクだったのである。

二次元でも三次元でもイケメン男子から手を差し伸べられると途端に興醒めし、すいません結構ですとチベットスナギツネ顔をキめていた。これはモテない。

あの頃は、私の人生において男性アイドルを推すなんてことは一度たりともない、絶対にないと断言できた。

 

そこから時折り、友人Aの家で超特急の映像を見るようになった。

イケメン男子に興味がないとはいえ、友人Aの推しを無下に扱うほど私のオタク精神は落ちぶれてはいない。少しずつメンバーの顔を覚え、名前を覚え(友人Aの推しはリョウガさんだが長らくリョウガさんをリョーガさんだと思っていた)、顔と名前が一致し、担当を覚えた。号車は生年月日順だと分かってはいたものの、どうにも覚えられなかった。いつも分かりやすく横一列に並んでくれてるのにね。

楽曲も耳に入れたりMVも見たりしたが、ぼんやり記憶しているのは前山田健一氏がプロデュースしたバッタマンだけである。ニコニコ動画全盛期の頃、ヒャダインの投稿動画を網羅してセルフ痛カラを強行していたオタクにとっては、完全に前山田方面からの食いつきであった。そんな平行線の日々が4年続いた。

 

 

■ 2 友人の大切な人達だから ■

青天の霹靂、その時は突然訪れる。

2018年1月、1号車、バックボーカルの1人であるコーイチの脱退が発表された。

この時のことは今でもよく覚えている。

仕事中、友人AからのLINEでそのことを知った私は、職場のトイレで泣いてしまった。人にはそれぞれの人生と選択があり、それは最大限に尊重されるべきものである。そのことは充分理解していたものの、友人Aの、8号車の突然の別れを思うと悲しくて仕方がなかったのだ。それと同時に、ツインボーカルが1人になってしまったタカシくんはどうなるのだろうか…と。

超特急のライト層ですらないくせに、漠然とそんな心配をしてしまっていた。

 

そんな中リリースされた、超特急が6人体制になって初のシングル『a kind of love』

友人から促されるまま初見でこのMVを見た時、私は初めて超特急というグループとこの楽曲に特別な意味を見出した。

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※以下敬称略

MVでまずタクヤの運転する車にリョウガが乗り込み、ヒッチハイクをするカイユーキを乗せ、何故か1人ロードバイクで追いついたユースケと合流する。ダンサー5人が揃う。

その間、タカシは線路沿いで1人歌い続けている。

ダンサー5人を乗せて走り出す車。運転手のタクヤがバックミラーに何かを見つけると、他のメンバーは驚いたように後ろを振り返る。

タカシである。タカシが車を追いかけて走っているのである。

車を止めドアを開けると、息の上がったタカシがわずかに笑顔になりながら車に乗り込んでくるのだ。

 

号 泣 (こないだ見返しても泣いた)

 

諸々の経緯を知った上であのMVを見てタカシ大切」にならん人間はこの世におらん。そしてこのMVを見て、超特急はこれからこの6人で走っていくんだなと強く感じた。

私はすぐに友人AにLINEで感想を送った。ちなみに、その頃のLINEは機種変の際にデータが吹っ飛んでしまい残っていない。

 

そこから超特急を見る目が変化し始めた。それまでよりも、なんとなく愛着が芽生えたのだろう。

とはいえ、当時の私は声優にどハマりし人生設計を狂わせて転職するも半年しか続かなかったり、1年自宅警備と遠征をしながら100社くらいから祈られては「私という人財を逃して残念だったな!」と捨て台詞を吐きつつ人生を謳歌していたので、あくまで贔屓にしている男性アイドルの位置付けであった。

ただ、自然と超特急のライブ映像やバラエティの見え方も変わっていき、友人Aのおすすめシーンに唸ったり騒いだりするようになり、いつの間にか「カイくんの笑顔かわいいな」のオタクになっていた。メンバーの性格や個性についても、以前より解像度が高くなっていった気がする。

相変わらず楽曲についてはほとんど頭に入っていなかったが『超えてアバンチュール』だけはiTunesで購入したし、カラオケで歌えたし、合いの手も入れられるようになっていた。

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熱狂的な推し活の日々を過ごす中、とある情報が飛び込んでくる。

2019年6月、6号車、メインダンサーの1人であるユースケの休養。

友人Aからの報告だったのか、ネットニュースで見たのかは覚えていない。私の中でダンサーとしてのユースケといえば、バッタマンで暴れ回るパワフルさとコミカルさの印象が強かったため、身体に不調があるのだろうかと思っていた。

しかし3ヶ月、半年と休養が続く中で、口にしないまでも私は何かを察し始めていた。それが当時の8号車と同じ考えなのかは分からない。

2020年2月、ユースケの脱退と事務所の退所が発表された。

コーイチ脱退の時のような、突然の別れに対する大きなショックのようなものはなかった。当時の私は勝手ながら、ゆっくり休んでユースケが元気になってくれれば良いと願った。

今思えば、ここから超特急募に至るまで2年の月日があり、コロナ禍でのそれはとてつもなく大変なものだったろうと感じる。

コロナが猛威をふるい、コロナとは関係ないが私は身内が死んだりなんだりと忙しなく、閉塞的で気が狂うような日常を必死になって送っていた。私生活が大変だったせいか、ユースケ脱退以降の2年半は、私の中でも超特急の記憶があまり残っていない。

あ、でもバレットピンクちゃんたちのことは覚えてるし、また復活して欲しいな。

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■ 3 見慣れたはずの知らない列車 ■

2022年4月、友人Aから新メンバー募集オーディションが開催されるとの一報を受けることになるが、新メンバー募集に対して私は「それは素敵なことだ」と肯定的に捉えていた。

8号車でもなんでもない外部の人間の無責任な発想とも言えるが、私は「ツインボーカルになれば音楽に幅が広がりそう!」と喜んだ。あとこれは客観的に見て、バックボーカルが1人になって以降、タカシくんの負担は相当なものだろうと思い続けていたからでもある。

オーディションが開催され新メンバーが決まる頃、私はというと絶賛俳優にどハマり中なのと現実逃避とで、もうそっちに一直線ガンギまりヨロシク状態だった。友人Aからの超特急情報も見事に右から左へ受け流し、こちらから「新メンバー4人も居るんだ?!」とか話を振っておいて4人の紹介をさせたくせに、それを完全に既読スルーしていた。本当にごめん。

 

2022年9月、友人Aはめでたく新メンの推しも決まり(マサヒロくん)、そのご紹介を兼ねていくつか動画を共有してきた。

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素直に与えられた動画に目を通したが、特にgr8est journeyのダンスプラクティスでは「マサヒロくんさんダンスめちゃくちゃウマない?」と思いながら注目して見ていた。

そんな中で、ふとあるメンバーの表情が目にとまる。

というか飛び込んできた。

iPhone11が映し出す、割れた米粒の欠片くらいの大きさしかない顔。それでもよく分かる、弾けるような笑顔。

私は動画を巻き戻した。ここぞというところの表情の見せ方が良い。とても良い。素敵だ。うわなにその首コテン好き。そんでよく見るとダンスがダイナミックで個性と主張強めだな…いいわね、私そういうの好きよ。いやしかし本当にいい表情をする…

え、誰??いやお前新メンバーだろ私は知ってるぞ(知らん)???

一体誰なんだこの子は????

私は友人AにLINEを送った。

「私緑のパンツの子が気になる どなた?」

そう、私は13号車、メインダンサーのアロハと出逢ったのである。

 

友人Aに促されるまま、まずはざっとアロハくんの100の質問に目を通す。

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※今となっては自身の取り扱い説明書の回答がとんでもなくて頭抱える

新メンバーの顔を誰一人全く把握していなかったのだが、なんとアロハくんは私好みの爬虫類寄りのお顔であった。子供の頃のあだ名が「アロサウルス」というのも頷ける。にしても元の顔面がかなり強い。

なるほど顔面の良い陽キャか…二次元でも私が絶対に推さないタイプのキャラじゃん。ふん、おもしれー男。

その後は、9人体制初のニューシングル『宇宙ドライブ』である。

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はは~~ん新体制1発目は超特急らしさのあるご機嫌なトンチキソングってわけね?いいじゃない…などと思いつつ、衣装(カイくんいつも本当にありがとう)と金髪を頼りにどうにかMVのアロハくんを観測しようと試みていたところ、華麗に繰り出されたアクロバットに私は目をかっぴらいた。

すぐにこの子は誰かと友人Aに問うと「おめでとうございますアロハくんです」という当選通知が。

この戦い…我々の勝利だ……私の新メンバーの推しは不動のものとなった。

それからは風呂に入りながら宇宙ドライブを流す日々が続き、ぼんやりしていた新メンバーの顔と名前を一致させ、識別できるようになった。もっと新体制の色んなMVやダンス動画をすぐにでも見たかったが、公式YouTubeからの供給はそれ以上にはなかったので、気づけば超チューバーの動画を眺めていた。

「なるほど、かつて友人Aに見せてもらったあの企画動画は超チューバーだったんだな」などとソフトなアハ体験をしながら過ごしたり、YADE SUN ROOMを見てタカシくんの尊さに頭を抱えたりした。

 

2023年1月、推し俳優の写真集お渡し&2ショットチェキ会でタイマンをはるべく、私は気合を入れて美容院に髪を染めにきていた。2段階のカラーで施術にかなり時間を要するため、担当の美容師さんに「よければYouTubeでも雑誌でもどうぞ」とiPadを渡される。

さぁどうしたものか。

ファッション誌が読めない(すぐ飽きる)ことで有名な私であり、普段YouTubeを全く見ないことにも定評がある。とはいえ数時間に渡りクソツイッタラーを晒すのは場違いが過ぎる。こういう時、オシャレヒューマンが見るのは推しアーティストのMV!そうだろ!なぁ!と天才的な考えに至るも、なんと私には推しアーティストなどいなかったのである。どうしよう。

その時、私の頭にひらめきが浮かんだ。

「そうだ、超特急を見よう」

そして私は思い出す。確かYouTubeにそれなりの尺の新メンバーオーディション密着動画があったはず。ちょうどいい!それを見よう!

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それから私は超特急募#0から順番に動画を再生した。それまで超特急のMVやバラエティ動画はいくつか見てきたが、こういったドキュメンタリーチックなものは初めてのこと。

時間潰しのためと軽い気持ちで見始めたが、動画を見ていく中で私はオリジナルメンバー5人のことを、これまでの超特急の歩みを全くなにも知らなかったのだなぁと感じた。私はこの時はじめて友人というフィルターを通さず、わずかではあるものの、自分自身として超特急と向き合ったのだと思う。

美容院で再生できたのは#4.5の途中くらいまでだっただろうか。帰宅した私は#4.5の続きを見始める。オリジナルメンバー一人一人の思いを聞き届け、9人で初めて披露されるgr8est journeyを見た私の目からは、涙がボロボロとこぼれていた。というかもう、どかすかに泣いていた。

なぜ泣いているのかよく分からなかったけれど、9人の笑顔とユーキさんの涙を見て「良かったなぁ」と思いながら泣いていた。

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※再生開始位置指定済(18:00)gr8est journey

ここまでくれば流石に8号車になるかと思いきや、私にとっての超特急は相変わらず「友人が応援しているから贔屓にしている男性アイドル」という位置づけから全く動いていなかった。あくまで、友人の飼っている猫をはたから見て愛で慈しんでいるくらいの感覚だったのである。

というか、その一線を越えることなどあるはずがないのだ。なんせ、10年前から「私の人生において男性アイドルを推すなんてことは一度たりともない、絶対にない」と豪語していた人間なので。

ただ、オタクをしている皆さんならお分かりかと思うが、沼に落ちる時とはえてして突然である。

 

 

■ 4 一寸先は新世界 ■

2023年3月29日、友人AがTikTokの動画を送りつけてきた。

なんでも、アロハくんがバズりかけて見つかりかかっているとかなんとか。「ほぉ」と思いながら送られてきた動画を経由して生まれて初めて超特急のTikTokを見てみたところ、確かにMORA MORA関連のアロハくんの動画が伸びている。

@bullettrain_8 @🤙髙松アロハ🤙 の MORA MORAダンス🕺 #超特急_B9 #MORAMORA #ダンス動画 #超特急 #アロハ ♬ MORA MORA

@bullettrain_8 超特急メンバーの #moramoraface みんなもチャレンジしてみてね! #超特急 #アロハ #超特急_B9 #moramoraフェイス #moramora ♬ MORA MORA

というか、このアロハくんの顔面とダンスはちゃめちゃにいいな…そう思った私は超特急のアカウントをフォローし、上がっている動画を漁り始めた。

実のところ、それまで私はアロハくんのパフォーマンスが実際にはどんなものなのか、ほとんど知らなかったのである。MVやダンプラでぼんやり観測する程度でしか、彼のダンスも表情も見えてはいなかったのだ。しかしTikTokに上がっている動画はどうしたことか、彼のパフォーマンスがダイレクトに目に刺さり脳まで突き抜けてくる。直接脳に語りかけてくるどころの騒ぎじゃない。

気づけば私は本人とユーキさんのアカウントもフォローし、Twitterでも検索をかけまくり、睡眠時間を2.5時間に削って動画を見続けていた。(一人で踊っている動画が圧倒的に多いように思われたユーキさんのTikTokが、新メンバー加入以降はメンバーと踊っているものが増えていることにキュンとしたりした)

そしてあることに気付く。

アロハくんは超大天才なんじゃないかと。

 

あるアーティストを推すフォロワーが言っていた言葉を思い出す。それは「表情管理」

今まで聞いたこともない単語だったが、なるほど振り付けに合わせて表情を変える様は表情管理と言えるか…と納得した。そしてアロハくんのパフォーマンスはまさにそれだったのだ。これぞまさに真理。世界の答え。

私は愕然としていた。ただでさえ顔がいいのに、彼がこんなにスーパーハイクリエイティブで最高に可愛くてカッコよくて美しくて個性の光るダンスが魅力的な世界一アイドルだなんて知らなかったのだ…なんということだ…JAPAN EXPO THAILAND 2023のDance Dance Dancing!My Buddyでアロハくんの笑顔とパフォーマンスに心臓を鷲掴みにされた私は、アロハくんのことを一番星の生まれ変わりで世界一アイドルだと信じて疑わないオタクとなった。(後になって知ったことだが、アロハくんの表情管理は特に意識していないらしい。あれがフルオートとかマジ?アロハくんインテル入ってる?)

www.youtube.com

※再生開始位置指定済(2:24:39)サビ終わりに画面左の枠外に飛び出していっちゃうアロハくんLOVE…

布団に入ってアロハくんのパフォーマンスをひたすら摂取し続けて朝を迎えていた私は、友人から「完全版はファンクラブでどうぞ」と一つの動画を共有された。超チューバーにアップされた超特急の#超旅である。

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※アロハくんがドライブ系男子だと知り一気にテンションが上がった

睡眠時間を極端に削られ危機的状況の脳みそをしばき倒し理性がぶっ壊れていた私は、もちろん完全版を見たいと思いファンクラブ会費を尋ねた。するとなんと入会費1,100円、年会費4,400円と言うではないか。やっっっっっっす……「検討します」と言い残した私は、くぐることはないと思っていた改札口へふらふらと歩き出していた。

 

2023年4月1日、私は別の友人B(Kポドルオタ)と花見にきていた。

専ら友人Bに「新しい推しをご紹介します!!」と言わんばかりに、アロハくんを中心に超特急の話をぶちまけた。動画も一緒に色々見てもらい、すごく楽しかった。

夜になり、近場で予約した店でひととおりの注文を終えて一息つく。

私は意を決した。

「ちょっと私、8号車になるわ」

推しは推せる時に推せ。私のオタクとしての信条である。

そして脳みそが完全にキまっていた私は「4月1日にFCに入ったら継続年数わかりやすいしなんかおもしろくない?」とかいう別におもしろくもないしょーもない理由でその夜、友人Bに見届け人になってもらい、新世界との出会いに胸を躍らせながら改札をくぐった。これで超旅は私のものだ……

 

 

■ 5 掴み取れ乗車券 ■

そこからはもうとびっきり超特急にまみれた日々である。

新メンバー加入後のFC動画を網羅しつつFODに加入して超特急の撮れ高足りてますか?を見たり、アロハくんのサイン入りポスカ特典の初回限定版B9を買ったり、huluでD.U.N.K. Showcaseアーカイブを見たり、スペシャオンデマンドでザ・ベストナインを見たり、アロの助手席なる個人FCに加入してみたり…夢のような日々だ。

色とりどりの絵の具をぶちまけたみたいなスマホケースと、シルバーのフープイヤリングとターコイズのブレスレットを買い、髪もブルーアッシュに染めた。個人FCに上がっている動画を一つ一つ見ながら、アロハくんがどれほど超特急というグループを愛しているかを知り、こんな素敵な人だったのかと改めて感じ入った。

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ここまで来れば次はもちろんライブである。しかし生まれてこのかた、インディーズバンドの小さい箱でのライブぐらいしか行ったことがなかった私は、ペンライトを振るタイプのアイドルの現場でちゃんと空気を読めるか自信がなかった。

だってTyphoonとか絶対にペンラ放り投げてプチョヘンザしたくなるやん…などと考えるオタクが果たしてライブに足を踏み入れて良いものかと一抹どころではない不安を覚えつつ、私はインフォメーションを追った。

残念ながら地元(福岡)開催のチケットは完売していたため、私生活の状況諸々を考慮した結果、私が申し込めるライブは8月8日・8号車の日といわれる超特急とファンにとって非常に大切な日のライブしか残されていなかった。はっきり言って躊躇した。

頼みの超特急10年選手の友人Aは、もちろん一次先行で既にチケットを抑えている。会場までは一緒に行けるとはいえ、生まれて初めてのアイドルの現場という戦場に単身で挑まねばならないのだ。前後左右斜め、8面楚歌のB(Battle)9もいいところだ。やかましいわ。

ええいままよ!!やらない後悔よりやる後悔!!

私はチケットを申し込み、チケット当落が出る前にライブグッズを買った。ターコイズのペンライトは2本購入できたが、アクキー争奪戦には負けて悔しくて子供みたいに駄々をこねて暴れた。

 

それから私は自身の置かれた状況と、超特急の人気を甘く見ていたことを痛感する。

平日火曜の夜とはいえ、さすが8号車にとって特別な日。FC二次先行を外し、描けば当たるという絵描きオタクのジンクスに従い全メンバーの絵を描いたものの、プレリク先行、プレリク二次先行でもチケットはご用意されなかった。

これはもう配信があることに一縷の望みをかけて、自宅でペンライトを振るしかないのかと半ば諦めかけた時だった。救済措置はまだ用意されていたのだ。そう、チケットトレードである。

すぐに登録して「チケットトレードとは」を読み、まだ開始してもいないのに「超特急」で検索をかけてB9のチケトレが始まるのはまだかまだかと待ち構えた。特に意味もなく過去のチケトレも眺めた。チケトレ開始初日は全く出品が上がっておらず「ここでも狭き門なのか…」と思い待つこと数日、チケトレが賑わいを見せ始めた頃、私は興奮を隠すことが出来なかった。

あるではないか!!!福岡公演の出品が!!!

しかも2連番の出品がある。私はすぐに友人Aに相談を持ちかけ(連番即決)、2枚組のチケトレに申し込みをした。描いたし、地方公演だし、地方公演で会員+会員の2連番…当たらない方がおかしいという根拠のない自信で臨んだチケトレ抽選であったが、見事トレードが成立し私は生まれて初めてアイドルの、超特急のライブチケットを手に入れた。

超特急を応援する友人を10年眺め続けたオタクの、初乗車が決まった。

 

 

■ 6 初乗車に向けて ■

初乗車をするにあたり、これだけはやっておこうと決めていたことがあった。それは、ツアー初日で判明するセットリストの確認である。私が把握している超特急の楽曲は極わずかであり、とはいえこれからライブに向けてありとあらゆる楽曲を頭に入れるのは無謀であったため、セットリストから知らない楽曲だけをピックアップし頭に叩き込んでおく必要があったのだ。

友人AがセトリバレNGのオタクであるため(どうやら世のオタクの大半はセトリバレNGらしい。早い段階で知れて良かった。危うく殺されるところだった)、心優しい名も知らない8号車に楽曲の略称を教えてもらい、お風呂やお絵かきのBGMにしてメロディーを身体に馴染ませる。申し訳ないことに、コールやペンラ芸を頭に入れるキャパと時間はないため、せめて1桁号車の口上だけはコールできるよう練習した。

初乗車に向けて色々準備を進める中、アロハくん初主演のBLドラマ『4月の東京は…』の情報解禁と放送が間もないことが分かって発狂し、その後1週間は可愛い娘がお嫁にいくのが悲しくて仕方ない父親みたいな状態になったりした。

アロハくん初主演ドラマおめでとう!新曲やツアーの準備と並行してお仕事を頑張ってくれて本当に本当にありがとう!ただしスタダは表に出て私に5発は殴られろ。

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それからタクちゃんの車両点検(という名の欠席)や台風による大雨など、思いがけない様々なことが巻き起こりながら迎えた2023年6月4日、ライブ当日!!

なんと私はまだ初乗車の実感を抱いていなかった。

地元開催というアドバンテージが、私の緊張感に麻酔をかけているようだった。友人Aと、ライブに参加はできないが招集された友人C(当日券とかあれば良かったんだけど)と共に物販列に並んでいるせいか、初めて乗るアトラクション待ちくらいの感覚で2時間ほど並んでいただろうか。

会場に足を踏み入れる直前、会場内の音楽が耳に入り、見本として展示されているグッズを目にした時、急激に実感が湧いてきた。湧いてきた結果、急性超特急中毒を緩和するためか脳みそが「場内の音楽に合わせて身体揺らしとけ!」という指示を出したので、なんかライブ前にご機嫌でノリノリの人の如くレジ前までたどり着く。頭は空っぽだったが、買うべきものを慣れた感じで順番に口に出している自分に驚いた。店員さんに商品の確認をしてもらいながら凄く不安にはなったが。

このあたりからはもう脳みそがお祭り騒ぎである。もらったパンフレットを卒業証書授与のごとく水平にして持ったままカフェまで歩き、その間ずっとパンフレットの表紙を見ては「すごいキラキラしてる!!え、ウソかっこよ!!うわっ!!こっち見んな!!」などと言っていた気がする。

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友人Aが歴代ペンライトに大量のボタン電池を突っ込んでいる傍らで、私はチーズケーキを頬張りながらハルくんプロデュース生写真で自引きしたアロハくんとハルくんを眺めてニコニコしたり、念願叶って手に入れたアロハくんとハルくんのアクキーを大事にしまったり、なんかそんなことをしていた。(アロハくんのステッカー交換相手にはしっかりお声掛けしておいた)

腹ごしらえと準備を整え、いざ再びライブ会場へ。

 

福岡市民会館の座席数は1770。1階から3階まで地続きで、全ての席に傾斜がある非常に見やすい会場だ。私も学生時代に一度、中文連で足を踏み入れたことがある。

座席を確認し、振り返ってステージを見た瞬間、私は思わず「おるやん」と声に出した。もちろんステージ上にはまだ誰も居ないのだが、そこに超特急のメンバーが立った時、それは実体として存在するのだろうと想像し得る光景が既にそこにはあったのだ。

双眼鏡のピントを合わせたり、お手洗いに行ったり、隣の席の先輩8号車に話しかけてもらったり、ハルくんやマサヒロくんのご家族かなぁという御一行にほっこりしたりしながら過ごしていると、リョウガさんの影ナレが聞こえてきた。凄い!動画で見たやつだ!福岡公演ということで影ナレにハルくんも駆り出される。ここまではまだ、これから映画でも始まるのかくらいのテンション感でその瞬間を楽しんでいた。

照明がおち、周囲に合わせて起立し、ペンライトを灯してその時を待つ。

会場を埋め尽くす色とりどりのペンライト。その中に緑色のペンライトがたくさん揺れていた。4号車を推す8号車のみんなが来てくれていることが、とても嬉しかった。

 

 

■ 7 B9 Unlimited ■

ネタバレにならないよう演出に関しての言及は極力避けるが、メンバーにスポットライトがあたりスクリーンにその映像が映し出された瞬間、私は見事なまでの悲鳴を上げていた。自分のことだからきっと出すべきところで勝手に結構な声量の悲鳴が出てくるだろうと思っていたが、案の定というか、もう始まった瞬間から音量MAXで悲鳴を上げていた。なんたってみんなカッコいい。

全員にいちいち悲鳴を上げていた気がするが、アロハくんに対してはいよいよとんでもなかったんじゃないかと思う。コロナ禍において、悲鳴も上げずにこれに耐えていた各界隈のオタクみんな凄くない?よく爆発四散せずに生き延びられたね?生きてここまで繋いでくれて本当にありがとうね?

アロハくんがカメラに抜かれる度に、カッコいいだの可愛いだの口走りながらホイッスルのような悲鳴をあげていたし、予習の甲斐もありタカシくんとシューヤくんの歌声に合わせて身体とペンライトは勝手に動いていた。というより、私は完全に超特急の操り人形と化していて、私の生殺与奪は全てアロハくんが握っていた。最高に生きている瞬間だった。

 

色んな場所で色んなことが起こりすぎて最早記憶はほぼないのだが、客降りのエグさが尋常ではなかった。先に紹介したとおり、福岡市民会館は1階~3階まで地続きである。通路も特段広いわけではない。舞台から降りてきたメンバーが上の階まで上がってきて通路を渡りすれ違い、再び舞台へ戻っていく一部始終がずっと見える状態なのだ。

そうするとどうなる?知らんのか?同時多発超特急ファンサで、どこでなにが起こっているのか全く分からなくて阿鼻叫喚の嵐になる。

 

アロちゃん!!!アロちゃん来る来る来る来たアロちゃんうわアロちゃん綺麗美人カッコイイ無理無理あーーーーアロちゃんアロちゃんが行っちゃうアロちゃんアロ、あ!あ!リョウガさん!!リョウガさん来たよリョウガさん来るまだ来るうわうわうわうわえ!?!リョウガさんそこおるやん何してんのえ!?!え!?!あれリョウガさんどこ行った?!あ、あ、カイくん!!カイくんだカイくんえ待ってカイくんうそうそうわえっぐ!!!ファンサえっぐ!!!あ、ちょっと待って左手に見えますのはタカシくん、右手に見えますのはリョウガさん、でもさっきアロちゃんが2個隣のブロックの後方に行った気がする!!なんか前のブロックも騒がしい~~~あ!ほら見て!!ステージの上でハルが一人で踊り狂ってるよ!!愉快だね!!とか言ってる間にシューヤくんいるじゃんシューヤーーーーーー!!あ!マーくん!!マーくん居る!!あーーーマーくんこっち見てくれた可愛い!!!

 

なんかこんな感じである。

左にいるタカシくんと右にいるリョウガさんを観測しようと顔を左右に動かして壊れた人形のようになっていたし、救急車のサイレンが聞こえてどこから救急車がくるのかを探すドライバーの如く、どこかのブロックで上がる悲鳴の方向に頭や目を忙しなく動かしていた。そして何故かユーキさんだけは観測できなかったので、ユーキさんとタクちゃんはまだ二次元の存在の可能性があると思う。

 

まさに熱狂

果たして何年振りにこんなにキャーキャーとはしゃいだことだろうか。

あまりにも楽しくて、次が最後の曲と言われた時に「体感20分ですが?!?」と本気で驚いた。今すぐもう1公演やって欲しいと思ったくらいだ。

タクちゃんに向けて記念撮影をしたり(カイくん天才)、ハルくんとシューヤくんの感情の吐露に切なくなったり、アロハくんとハルくんが電車ごっこみたいなことをしているのを目の当たりにして半ギレしたり、温かく優しく眩ゆい煌めきで多幸感に溢れていた。

 

終演後、放電しながら会場の外へ出て、単発で引いたステッカーの交換相手を探す。

私はタクちゃんをお迎えしていたのだが、相手の8号車さんはタクちゃん不在でもライブに来てくれたんだなぁなどと思っていた。お相手を見つけ出し、中身の確認をお願いしたところ、ステッカーを見た瞬間に「可愛い!!」と飛び上がって喜ぶ姿がとても微笑ましかった。

なんとその8号車さんも、今回が初乗車だったのだ。

なんだかとても嬉しかった。ささやかな事ではあるけれど、初乗車で4号車を応援する人の元にタクちゃんのステッカーをお届けできて、本当に良かったと感じた。(その後、アロハくんの主演ドラマの各所インタビューでタクちゃんからアドバイスをもらったエピソードを読み、マジでもう4号車にも4号車のオタクにも頭上がらんになった)

 

友人Aと夕食を取りながら語らい、帰路につく。家に帰って真っ先にパンフレットを開いたが、パンフレットの内容全てが本当に愛おしく大切で、これは我々の宝物だとベッドの上で抱きしめた。アロハくんのページのアロハくんの言葉を読んで、本気で少し泣いた。

 

 

■ 8 こんなにドキドキしてるのは ■

初乗車を無事終えこのブログをしたためる今の私は、次の公演をチケトレで確保できないかと画策中である。もしかしたら福岡以外のどこかのB9に参加しているかもしれない。

 

ここまで長々と話をしてきたが、初めてアイドルを推すにあたり、どういうスタンスで界隈を渡り歩けばいいのか正直わからない。今までの自分の推し活の仕方を振り返ってみて、同様のアプローチでいくとまた無駄な気疲れを起こすだろうと、半年ROMれの精神で界隈から少し距離を置いている部分もある。けれど、繋ぎ与えてもらったこの出逢いをどうにか大切にしたくて、これからどういう応援の仕方をし、どう界隈と接していこうかと模索している。

 

ただ、今言っておかなければと思うのは何よりも、多くの人への感謝の気持ち。

超特急というグループのはじまりと歴史を築いてくれたみんな、11年の月日を超特急として走り続けてくれたオリジナルメンバー、超特急の1人として共に走ることを決意し飛び込んで来てくれた新メンバー、11年以上の歴史を持つ超特急の各時代で彼らを応援していた多くの8号車(たとえ今は別の人生を歩んでいたとしても)、そしてこの10年間、ライブの誘いに一度だって乗らなかった私への適度な布教を怠らず、超特急を応援し続けた友人A。

今、私の人生がこんなにドキドキしてるのは、皆さんが居てくれたからに他なりません。超特急のライブでターコイズのペンライトを振れたことが、心から嬉しかったです。本当に本当にありがとうございます。

 

若干湿っぽくなったが、今は取り敢えず日々のアロハくんの笑顔と健康と情報と供給に気を狂わせているので、沸騰する脳みそで頭をバカにしてのたうちまわり、肺いっぱいのキラキラの砂糖菓子に溺れてしまいたいと思う。

@murachan_secret5 四月の超特急… #アロハ ♬ ファジーネーブル

※ユーキさんのこのTikTokのおかげで私もどっかに逝けそう

推し増し、推し変、古参、新規、出戻り、この歳で、性別が等々、新たに何かを応援し始める時に色々思うところや躊躇がある人も居るだろうが、なににつけても人生は楽しんだ者勝ちである。(勿論、一般的なルールや常識に従い、誰かに迷惑をかけたり傷付けない範囲で)

そしてそのタイミングはいつ来るか分からない。そう、私のように。この歳にもなって、今頃で今更。でも今がその時なのだ。

どうか手に取ってみて欲しい、触れてみて欲しい、覗いてみて欲しい。でも今すぐハマらなくたっていい。ゆっくりでいい。いつかまた巡り合う日が来るのなら、その時だっていい。

そしてその出逢いがもし超特急であるならば、こんな嬉しいことはない。その時は是非、あなたの言葉も聞かせてください。

ご乗車、お待ちしております。